山の掟は守ろう、の巻
「交通規制もあるから3時半には出発しよう!」
台湾の場合、連休中は大体高速道路でトラフィックコントロールがある。種別は色々。
「朝の何時までは無料・割引料金」「乗車3名以上の車のみ通行OK」「規制後は午後8時以降なら高速進入OK」「特になし!」とか。
いずれにしろ、せっかくの休みは思う存分楽しみたいので、早朝に出かけることが最近は増えてきた。
台北を早朝に出発し、1日目は花蓮で朝食をとり、川から海へSUPでのクルージング開始。午後は山へ滝を見にトレッキングを開始した。
よく友人達から、「彼はアウトドア関連の人?」と聞かれる。そんなことは全くない。パパが始めたアウトドアとは全く関係ないファミリービジネスをしている。子供の頃からお父さんに連れられてアウトドアを楽しんできた延長線上にいるだけで、単なる筋金入りのアウトドアが好きな人。
根っからのアウトドア人間なので、もはや公に知られている絶景スポットなんかにはあまり興味がない。唯一彼を興奮させるのがいわゆる「秘境」じみた場所。スマホが圏外になる場所、他に人がいない場所、道が整備されていない場所、いや、間違えた、もはや道がない場所。でもその先にはびっくりするような絶景が待っている場所。どこでそんな場所を探してくるのかと聞けば、
「ネットで見つけた。」
少なくとも、彼を惹きつける写真込みの情報を提供してくれている人がネット上に居る=かつて人が通った道・場所なんだという僅かながらの心の支えをもとに私も不安ながらも毎度のことチャレンジを積み重ねている。そんな中、今回山で受けた洗礼を紹介しておこうと思う。今後みなさんのアウトドア時のリスクヘッジになるように。
1日目の午後からは花蓮にある「水母丁瀑布」に行った。(残念ながら私のGoogleマップでは表示されない場所)ルートとしては、山を下り滝のそばにいく工程。距離的・時間的にも片道30分程度と短い。ただ、滝までの道がないので滑りやすさには要注意、若干のロッククライミングの要素を必要とする場所。
結論からいうと、今回インスタにもここにも投稿する写真の用意は一枚もない。何故なら
蜂に取り憑かれたから
海から上がった後、滝に着いたら泳ごうと言うプランだった。そのままウェットのワンピースでトレッキングに臨んだ。木の枝や切れ味の良い葉っぱを回避するためにデカトロンの代名詞であるマイクロファイバードライタオルをマントのように羽織って山を下っていった。
結果、それが致命的になり、蜂から好かれる事態に陥ってしまった。
山を下り始めて間もなく、体のそばで聞こえる蜂の旋回音が聞こえるようになった。蜂への対処は分かっている。「攻撃しないこと」とにかくこれに尽きる。偵察バチを追い払ったり攻撃しようもんなら命取りになるということは以前に学んでいたアウトドア知識。
「ダーリーーン!!問題発生!!有問題!有問題!!」
どうしたんだい、ハニー?といつものように優しく手を差し伸べてくれたものの、ことの事態を把握してちょっと面白がる相手の姿と、絶体絶命クライシスに陥っていた私。その間には「ビー」が旋回しておったあのコントラスト。
問題はデカトロンの代名詞であるドライタオルの香りだった。先月日本に帰り、買い込んで来た「レノアアロマジュエル」のバラの香りが呼び寄せてしまった。
「こう言う森の中で化粧品とか、香水とか、強い匂いを出すものは控えないと。蜂はそう言う匂いに敏感ですぐに寄ってくるから。」
「前にネットで見た。忘れてた、分かった分かった、先になんとかして。」
「ちなみに、こう言う探査バチを攻撃すると・・・」
「知ってる!知ってるからなんとかして。」
「この場合は、なにもしないのが得策だよ。普通に動いて。」
「普通に動いて腕とか当たったら、蜂的には『攻撃』と思われるんじゃないのー?大丈夫なのー?」
「大丈夫だよ、普通にしてれば。」
「普通にできません。したくても。」
「じゃぁタオルをしまっておこう。」
あの蜂の旋回音が耳にこびりついてしまった。タオルをしまい蜂が遠ざかっても何故か近くにいるような音が、幻聴が聞こえてしまい私の心を恐怖で支配した。
無事に滝に到着し、ダーリンは毎度のごとく水や滝を味わい出した。私も汗を流したいと思ったけれど、その前にこの絶景の場所を写真に収めておきたいとサックの中から機材を取り出そうとした、その時だった。
「ビー!!ビーきた!!(日本語)」
幻聴が現実になった。タオル収納以降聞こえていた幻聴は幻聴ではないことがわかった。サックを開けてから漂ったレノアの香りだけではなかった。なんの防御もない体のそばに蜂がクンクンとタオルの残り香を頼りにまとわりついていた。
「ハニー、兎に角水で体についた匂いを消したほうがいいよ。」
言われるがまま入水をし、冷たい水ながらも首まで浸かり匂い落としに躍起になった。
クリアで混じり気のない水はとても気持ちが良い。この日は泊まる場所がないと分かっていたから、これがシャワーがわりでいいやと半分諦めまじりで野生のシャワーで体の汚れと共に香りも根こそぎ落とした。
レノアアロマジュエルの確かな香り高さはこれにて証明された。皆さんも洗濯物の香り付けには是非ともレノアアロマジュエルを愛用してみてはどうだろうか。
蜂には申し訳ないけれど、レノアは綺麗さっぱり新鮮な水に流され、私はニュートラルな香りを放つボディに生まれ変わっていった。
この世の中で一番耳障りな音は何かと言えばあの蜂の旋回音。蚊の鬱陶しさもあるけれど、蚊のように叩き潰そうものなら命を狙われるリスクを秘めた蜂との対峙は恐怖しかない。
ただ、香りは水に流されても、簡単にあの旋回音を消し去ることはできなかった。
「ぶーーん、ぶーーーん・・・」
「なんかまだ聞こえる。」
「ハニー!!頭!!頭に二匹いるよ!!笑」
なんで?
「髪の奥まで入ってった!髪も水につけて!!」
恐怖のあまり無言で言われるがままに従った。顔だけ水面に出して髪だけを水につけた。
「ちょっと数回ダイブして!シャンプーの匂い落として!!」
そうだった!
台湾製のおろし立てのシャンプーはなかなか体験したことない、ぶどうの甘い香りのものだった。正直、そこまで香るか?と蜂の臭覚の高度さに感嘆。
髪も洗い、運悪く「自然」と水で溺れてしまった蜂を見届けた。最後は残念ながら魚の口が水面からぱくっとやってきて飲み込まれてしまった。
帰り際、車のそばで着替えるときもついうっかり洗いたての香り高いシャツを着てしまった時にあっという間に感づかれてしまったという始末。
今回は非常に重要なことを身をもって経験してしまった。これだけは是非皆さんに伝えておきたい。
山に入る際にはレノアアロマジュエルを使った衣類は着用しないこと。
以上。
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